第1章【財】『天月の投資人生』第3話:貧困学生のロード 〜引き裂かれた恋心と、新宿のホームレスに見た幻影〜

第1章【財】

痛快 天月です。

私のこれまでの歩みを本音で棚卸ししていく『天月の投資人生』。
第3回となる今回は、大学受験ゲームを制覇した私が、一転して「最愛の人の喪失」と「大人の同調圧力」の渦に巻き込まれ、再び闇を歩むことになった、切なすぎる青春の記憶を語ろうと思います。


■ ステップ①:現在の絶景 〜新宿のホームレスに、私が重ねる幻影〜

無事に地方の国立大学の法学部へ進学した私は、ある固い決意を胸に秘めていました。
「大学でも高校3年のあの爆発的な規律を継続し、法律を勉強して、大都会・東京へ這い上がってやる」

なぜ、そこまで東京にこだわったのか。理由は明確でした。
あの逆転劇のキッカケをくれた、私の大好きな彼女は――志望校に落ち、東京の短大へと行ってしまっていたのです。彼女を追いかけたい。その一心でした。

しかし、現在の私は還暦を迎え、地方の小さな市で大人しく、幸せな引退ライフを過ごしています。見た目も派手ではなく、体も小さい私にとって、この穏やかな小さな街で仕事を全うした生き方は、結果として一番合っていたのだと思っています 。

たまに、仕事や用事で東京の新宿都庁付近や、新橋の駅前を歩くことがあります。
そこには、冷たいコンクリートの上で生活している、ホームレスの方々がいらっしゃいます。彼らの姿を見つめるとき、私の脳裏には、いつも浮かび上がりることがあります。

「もしあの時、無理をして大都会・東京の荒波へ飛び出していたら……体も小さく、大人しい俺は、今、あそこに座っていたのは自分だったかもしれない」

そう思わずにはいられないのです。人生は、本当にどこでどう転ぶか分かりません。


■ ステップ②:過去のファクト 〜引き算された法律、そして、それきりの電話〜

私の学生生活が再び狂い始めたのは、大学に入学した最初の歓迎会の夜でした。
私は意志を貫くため、法律を勉強するサークルに入ろうと思っていました。

しかし、下宿で一緒だった、一つ上の工学部の先輩の男が、酒を片手に私を見て笑ったのです。
「お前、まさかあんな真面目な勉強サークルに入ろうと思ってるんじゃないだろうな(笑)?」

その瞬間、私の脳裏に、かつて子供の頃に農漁村の大人たちから浴びせられた「勉強ばかりしてどうするんだ」という、あの不条理な同調圧力の影がフラッシュバックしました。
私は、昔の悪い癖で、周囲の空気に「同調」してしまったのです。
「はは、そんなことないですよ(笑)」

引き算してしまった、自分の本当の欲。
そこから、私はまたしても「一切勉強をしない、ダラダラとした生活」へと逆戻りしていきました。これが、私の大きな失敗の始まりです。でも、そう考え、行動を選んだのは他ならぬ自分自身。今さら組織や環境のせいにしても、しょうがありません。

そんな大学1年生の夏休みのことです。
東京へ行った彼女が、長期休みに地元へと帰省し、私に電話をかけてきてくれたのです。

受話器の向こうから聞こえる、懐かしい声。しかし、離れた距離と、私の不甲斐なさが、透明な壁を作っていました。

結局、彼女との会話は――それで、終わりました。「さよなら。・・・さよなら・・・」。
彼女のその言葉で、両想いのまま、私たちの恋を、終わらせたのです。


■ ステップ③: 〜金はなかったが、時間は無限にあったあの時へ〜

掘っ立て小屋の実家から、親は毎月、いくらかの仕送りを私に送り続けてくれていました。
漁師の収入の不安定さの中で、あの生活からカネを捻出するのは、本当に大変だったはずです。

それなのに、私はその親の愛を裏切るように、勉強もせず、ただ時間をドブに溶かす生活を続けていた。
お酒を片手に、静かに過去を振り返る今、もし人生の中で一度だけ時間を巻き戻しできるなら、私は迷わずあの大学時代に戻りたい、と激しい自戒を込めて思います。

「お金は1円もなかった。けれど、何にでもなれる無限の時間(資産)だけは、確かにあの手の中にあったんだ」と。

第3の教訓はこれです。
他人の何気ない一言や、周囲のつまらない空気に流されて、自分の「本当にやりたいこと」を絶対にあきらめたはいけません。他人のものさしに同調した瞬間から、自分の人生は他人に搾取され始めます。

カネは運と努力でいくらでも増やせますが、失った「時間」と「大切な人」だけは、3億円を積んでも二度と買い戻すことはできない。
だからこそ、自分の思った道を真面目に突き進み、今ある一瞬の時間を、愛し尽くすことが、大切だと思う。

(次回、第4話:就職、それでもエアコンのない部屋へと直線一気で続く)

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