第1章第3考:どん底で出会った「独眼竜」の衝撃。20代の俺がコスモ石油に50万円を投じた理由

第1章【財】

裁判所職員への不合格、そして司法書士への挫折。
20代の俺は、目指した法律の道に進むことができず、固い仕事の切符を逃した閉塞感の中にいた。

そんなもがいていた時期に、俺はある一冊の本に出会う。
経済・相場小説の大物、清水一行の作品だ。

物語の主人公は、俺と同じように弁護士を目指すも挫折した男だった。しかし男はそこで腐ることなく、戦場を「証券界」へと移す。そこで、すさまじい執念と知性を武器に大活躍し、いつしか相場の世界で「独眼竜」と恐れられ、圧倒的な勢いで成功を収めていく──。

ページをめくる手が止まらなかった。全身の血が激しく沸き立つのを感じた。
「これだ。俺の生きる道も、この株式投資の世界にある」

法律の試験には落ちた。だが、そこで培った「ルールを見極める知性」と「原則・例外を突く工夫」を株式市場という巨大なマネーゲームにぶつければ、俺だって人生をひっくり返せる。

俺は迷わなかった。20代の若者が持つには大金だった「50万円」の有り金を握りしめ、市場へ打って出た。

記念すべき人生最初の指し手(初陣)として選んだのは、「コスモ石油」の株式だった。
ギャンブル感覚で値上がりだけを狙う有象無象のイナゴ投資家たちを横目に、俺が最重視したのは「配当の良さ」だ。

どれだけ市場が荒れようとも、確実な交換価値(インカムゲイン)を運んでくる高配当株を狙う。この20代の初陣の時点で、俺の「節制と複利」「そんなに勝たなくていい、負けない投資」という必勝の哲学は、すでに産声を上げていたのだ。

世間のレールからはみ出し、小説の「独眼竜」に己の魂を重ねたあの日から、俺の痛快な3億円マネーゲームは始まった。

娘よ、人生を大きく変えるきっかけは、いつでも本の一行、直感の一瞬の中に転がっている。それを掴み取るアンテナ(知欲)を、常に研ぎ澄ましておきなさい。


コメント

タイトルとURLをコピーしました