痛快 天月です。
私の人生を支え、折れそうな心を奮い立たせてくれた本や言葉を紹介していく「人生読本25」。
第18回目は、私のブログの背骨である「節制」という防衛術を、単なるケチではなく、人生を高めるための「洗練された美学」へと昇華させてくれた一冊です。
『小さな悟り』(知的生活文庫)
■ 部屋を見渡し、人生を見つめ直して気づくこと
第4回でも紹介した、私の大好きな曹洞宗の住職・枡野俊明氏の知恵に、私は近年再び救われることになりました。
「禅の考え方って、本当にいいよな」
本書を開くたびに、私の心の中にはそんな静かな納得感が広がります。禅の本質とは、あれこれと余計なものを付け足していくことではありません。むしろ逆です。「自分にとって余計なものを徹底的に削ぎ落とし、本当に必要なものだけをクリアに残す」という、究極の引き算です。
ふと、自分の部屋の中を見渡してみてください。
そこには、大して使ってもいない、なくても困らない「余計なもの」がたくさん溢れていませんか?
そしてそれは、部屋の中に限りません。私たちの生き方そのものの中にも、世間の見栄、他人の視線、付き合わなくてもいいアホとの人間関係など、心に重くのしかかる「余計なもの」がどっさりと溜まっているのです。
■ お金すらも、ときには「余計なもの」になるという悟り
無駄を徹底的に削ぎ落とす「強固なディフェンス(節制)」を敷き、私は還暦にして4,900万円という資産を築きました。そして今、資産3億円という高い山を目指して、本気のマネーゲームを楽しんでいます。
しかし、そんなお金のゲームの渦中にいるからこそ、私は本書を読みながら、ふと思うのです。
「もしかしたら、お金すらも、執着しすぎれば人生の『余計なもの』になってしまうかもしれないな(笑)」と。
お金は、大好きな娘との素晴らしい旅の思い出を作ったり、魂を震わせる一流の音楽を浴びたりするための、最高に便利な道具にすぎません。それなのに、通帳の数字を増やすこと自体に取り憑かれ、不安に怯えてケチケチと生きるようになってしまっては、本末転倒です。
余計な物欲を捨ててシンプルに生きるからこそ、本当に大切にすべき「娘への愛」や「自分の生き様」が、軽やかに、美しく浮かび上がってくる。これこそが、天月がたどり着いた『小さな悟り』です。
■ 現代を生きるあなたへ
現代社会は、テレビやSNSを通して「もっと買え、もっと持て、もっと豊かになれ」と、私たちの物欲(足し算)を際限なく煽ってきます。その結果、みんな心も部屋も荷物でパンパンになり、息苦しそうにもがいています。
ですが、人生の最終コーナーを周った今だからこそ、確信を持って言えます。
本当に豊かな人生とは、たくさんの荷物を抱え込んだ人生ではなく、「自分にとって本当に大切な、わずかな宝物だけを抱きしめて、軽やかに歩む人生」のことです。
天月が挑む3億円への直線一気は、欲望の足し算ではありません。無駄を極限まで削ぎ落とした先にある、ひとつの美しいゲームの到達点なのです。
もしあなたが今、日々の生活や将来への不安で心が重たくなっているなら、ぜひこの本をめくって、あなたの部屋と心から「余計なもの」を一つ、静かに手放してみてください。その瞬間、驚くほど軽やかで心地よい風が、あなたの人生に吹き抜けるはずです。
(第19回『鋼のメンタル』百田尚樹 へ続く)


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