第2章第1考:IQ130の小学生が温泉のコイン競馬で仕掛けた「大逆転劇」

第2章【学】

俺のギャンブル運、いや、人生における「ゲーム運」の原点は、小学校のあの夏休みにまで遡る。俺は、昔から、どうやったら少しでも有利になるかを考えるのが好きだった。
小学校のころ、担任の先生の机にあった秘密の書類をこっそり盗み見たことがある。そこには、俺の「知能指数:130」という数字が冷徹に刻まれていた。そんなIQ130の小学生だった俺は、地元の子供会で行った、夏休みの日帰り温泉旅行で人生最初の「必勝法」を閃くことになる。向かったのは、プールのある大きな温泉施設。
ゲームコーナーの片隅に、5頭のプラスチック製の馬がリアルにパカパカと走る、レトロな競馬のコインゲームが置いてあった。子供たちが群がり、レースが何度も何度も繰り返される。
1番と2番の馬は強くて、来れば配当は2倍。逆に3番、4番、5番は力のない駄馬の設定で、もし4番や5番が大金星を挙げれば、配当は50倍という大穴だった。ガキどもが感覚でコインを賭ける中、俺の脳は猛スピードで過去のレース結果のデータを処理していた。そして、ある「偏り」に直感で気づいたのだ。「……あいつら(1番・2番の本命)、わざと負けてるんじゃないか?」しばらく1番2番の本命馬が来ない重苦しい展開が続いた後、ようやく本命が勝つ。すると、その直後のレースでは、まるで反動を埋めるかのように、4番5番の50倍の大穴が突っ込んでくる──。たためかもしれない。だが、俺の知性は「ここが勝負どころだ」と告げていた。じっと耐えてチャンスを待った。
しばらく本命が来ないレースが続き、ようやく、待望の1番2番が1着でゴールを駆け抜けた。「今だ。ここしかない」俺は心臓の鼓動を高鳴らせながら、手持ちのコインをすべて、50倍の大穴である「4番・5番」の馬券へベットできるだけベットした。右隣の席に座る弟にも、そして左隣の席の従兄(いとこ)にも、俺は興奮を抑えながら叫んでいた。
「次、絶対に4番と5番が来る! 全部賭けろ!」

状況は一瞬で動いた。
パカパカとプラスチックの馬が走る。本命の1番2番が失速し、俺が狙いを定めた4番と5番の駄馬たちが、猛然と前へ躍り出る。結果は──4番、5番の見事なワンツーフィニッシュ。大穴、完全的中。ゲーム機からは、鼓膜を震わせるような凄まじい金属音が響き渡り、払い出し口からコインが怒涛のように溢れ出てきた。手元に残ったのは、小さな小学生の手では抱えきれないほどの数百枚のコインの山。それを見た施設の女中さんが、目を丸くして「どうしたの、そのコイン!?」と腰を抜かすほど驚いていた(笑)。周りのガキどもや親族の驚愕と羨望の眼差しを浴びながら、俺は温泉施設のゲームコーナーで、人生最初の「勝利の美酒」を味わったのだ。たまたまの思いつきだったのかもしれない。だが、周囲の空気に流されず、レースの「偏り」を観察し、ここぞという好機をじっと待ち、勝負どころで持てるすべてのチップを突っ込む──。還暦を迎え、3億円という本物のマネーゲームに挑む今、確信している。あの夏、温泉施設でコインの山を前にニヤリと笑った小学生の俺と、今の俺は、何一つ変わっていない。ゲームのルールを見極め、努力と工夫で歪み(チャンス)を見つけ、負けない戦いの中で一瞬の勝機をハックする。子どもの頃の俺も、周りとは違うところを見ていた。だからこそ、これからも面白いのだ。

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