痛快 天月です。
新連載として、私が還暦を迎えるまでの人生において、泥水をすするような暗黒時代を支え、折れそうな心を奮い立たせてくれた本を1冊ずつ紹介していく「人生読本25」をスタートします。
記念すべき第1回目は、私の精神的な土台となっているこの1冊です。
『新釈 菜根譚』守屋洋(PHP文庫)
この本は、私が20代のころに初めて手に取り、それから30代、40代、50代と、人生の節目節目で何度も読み返してきたものです。不思議なことに、読み返すたびに新しい気づきがあり、その歳ならではの深い感銘を受けてきました。還暦を迎えた今でも、私の傍らにはいつもこの本があります。
■ 菜根を噛み締めれば、多くのことは成し遂げられる
「菜根譚(さいこんたん)」とは、中国の明の時代に書かれた処世訓(生きていくための知恵)です。
「菜根」とは、植物の硬い根っこのこと。
「人はよく菜根を咬みえば、すなわち百事なすべし」(かたい菜根を苦にせず噛み締めることができるような辛抱強さがあれば、人はどんなことでも成し遂げられる)という言葉が、この書物の名前の由来です。
俺自身、若い頃にはこの言葉の本当の重さが分かっていなかった。
お金がなく、周囲から見下され、理不尽に踏みつけられる悔しさを味わいながら、じっと拳を握りしめて耐えてきた人間だからこそ、この本に書かれた言葉が血肉となって身体に染み渡るのです。
■ 天月の心に突き刺さった言葉
この本の中で、私が人生のコンパス(羅針盤)として何度も救われた教えがあります。
「苦難の時は、すべてのことが心を磨く砥石(といし)となる。順調の時は、目の前にあるすべてのものが自分を突き刺す武器となる」
私が経済的に恵まれず、悔しい思いばかりしていた暗黒時代、私はこの言葉を胸に唱えていました。
「今、俺は世界という砥石で、自分の魂をピカピカに磨いている最中なんだ。見下してくる奴らは、俺の刃を鋭くするための材料にすぎない」と。
そして同時に、この言葉は「資産3億円」を目指すこれからのマネーゲームにおいて、最大の戒めでもあります。
調子が良いとき、お金が増えているときこそ、人間は傲慢になり、一瞬で足をすくわれます。派手なギャンブルに走らず、徹底的な「節制」と「負けない投資」を貫くための冷静さを、この本は常に私に与えてくれます。
■ 現代を生きるあなたへ
人生の最終コーナーを周った還暦の今だからこそ、確信を持って言えます。
人生には、どうしても「菜根」を噛み締めなければならない時期があります。
しかし、その苦い根っこを噛み締めた経験がある人間は、誰よりも強い。
あわてず、うぬぼれず、自分の決めた道を直線一気で突き抜けるための「心の軸」が欲しいとき、ぜひこの一冊を手に取ってみてください。
私の人生を支えてくれた先人と、著者の守屋洋氏に、心からの感謝を込めて。
(第2回『自分の品格』渡部昇一 へ続く)


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